FPC基板実装シリーズの第2弾です。
今回は、第1弾でその重要性に触れた認識(BOC)マークについて書こうと思います。
また面付けされた状態(シート状)のFPC基板の場合、BADマークの設置も重要となります。こちらも合わせて解説しますので、参考にしてください。
・認識マークはなぜ必要?
認識マークは、何のために取り付けるのでしょうか?
それは、「自動はんだペースト印刷機・マウンタ・3D検査装置など自動機を使用する際の位置合わせ」をするためです。多くの実装設備は、部品が搭載される座標値をインプットして部品搭載や検査を行います。この位置基準になるのが認識マークとなります。いくら高精度を謳っている最新設備でも位置合わせの基準となる認識マークがない場合、精度を出すことができないわけです。またリジット基板と比較すると特にFPCの場合、伸縮しやすい材料の特性や補強板・剥離紙等が張り付けられていることで、位置精度が出にくくなってしまいます。
・認識マークの推奨条件
項目 | 推奨値 |
マークサイズ | φ1.0mm |
レジスト・カバーレイ開口サイズ | φ3.0mm |
配置位置 | <シートFPCの場合>:シート対角に2箇所(印刷用) <個片FPCの場合>:部品配置箇所の外側対角に2箇所 |
レイアウト上、推奨条件であるφ1mmの認識マークを設けることができないケースもあると思います。実績ではφ0.5㎜の認識マークでも認識させることができますので、ご相談ください。
・個片FPCの認識マークの配置:具体例
個片FPCの認識マークは部品搭載部を囲んだ四角の対角に配置すべし!
リジット基板と同様で、認識マークは対角に設置してください。FPCの形状や搭載部品の配置によって設置位置を悩まれるケースもあると思います。個別製品の認識マークについては、当社の営業もしくは貴社の窓口担当者へご相談ください。
・シートFPCの認識マークの配置:具体例
シートのFPCに認識マークは、シート全体に対して対角に配置してください。それに加えて個々のFPCの対角に設置してください。シートの対角の認識マークは、はんだペーストを塗布する印刷機で使用します。この認識マークで部品実装も行えるのですが、FPCの場合、シートの伸縮や補強板や剥離紙の影響を受けてしまい、個々のFPCの位置精度に狂いが発生します。精度を保つため個々のFPCの対角に認識マークを設置していただくことを強くおススメします。
・バットマークって?
バットマークは、シート状のFPCの中でNG基板がある場合に使用します。下図のシートFPCの内の1台だけがNG品で残り3台は良品の状態であるとします。その場合、NGの1台については部品実装をせずに3台のみに部品実装をさせたい。そんな場合に使用するのがバットマークです。NG基板のバットマークは、マーカー等で黒く塗りつぶすことで機械がNG基板と判断し実装をスキップすることができます。量産実装においてバットマークがない場合は、NG基板にも部品実装せざるを得ません。必ずバットマーク設置の確認をしてください。
※ただし、本来はバットマークは使用せず、すべて良品のシート基板だけを実装するのが1番良い方法です。NG基板が多数混在している基板は、各機械を流れるシート数がUPすることで実装時間も長くなり、必然的に実装コストがUPしてしまいます。
・認識マークの落とし穴!
これまで認識マークのサイズや配置位置について説明をしてきましたが、マークを設置しても不足しては困る情報があります。これを提供いただけないと認識マーク設置の意味がなくなってしまうのです。当たり前の話なのですが、実は不足しがちな落とし穴・・・。
それは、【認識マークの座標値】です。
冒頭で書いた通り、認識マークは位置決めの基準となるマークです。その座標値が間違っていると、精度は保てません。認識マーク設置時の座標値を必ず提供いただくようお願いします。
次回はFPCで使用するキャリアボードについてブログを書こうと思います。
投稿者プロフィール
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ビックライズ代表取締役COO。
提案のできる会社を目指し、日々奮闘しています。
これまでの経験、実績から「役立つ内容のブログ」をテーマに配信していきます。
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